住まい手訪問

日本画家のAさんのアトリエ兼自宅を ご紹介します。

大きな画布に雄大かつ繊細な自然の題材を描き、作品を外務省や法務省にも収める、若手の日本画家のAさん。清瀬市内で、奥様と小さなお子さん二人との四人暮らしで、ご自宅で絵画制作もされています。作品づくりに集中できる制作環境であるだけでなく、接客の場としての家の空間の質の高さも求められるケースでしたが、当社にご依頼をいただき、ご要望にかなうよう、精一杯設計施工させていただきました。 photo_customer_2

Q:内田工務店で家を作ろうと思われた   きっかけを教えてください。

敷地を入手してからは、住宅展示場に足を運んだり、住宅関係の本を読んだり、パソコンで検索したり、自分なりに情報を収集しました。いろいろ見たり考えたりするにつれて「自分は日本の家を建てたいのだ」ということが、はっきりしてきましたので、この地域で無垢の木を使った伝統木造の家づくりを手がける内田工務店に相談することを決意しました。

Q:内田工務店に決めるにあたって、   迷いはありませんでしたか?

「今どき、日本の木の家を建てるなんて、莫大なお金がかかるのではないか?」という先入観があり、予算に合うのか心配でした。土地の取得にもすでに多額の費用がかかっていましたからね。 内田社長と会い、まず、数寄屋や民家といった伝統木造や職人技術をこよなく愛する方だということ、そして、木の家づくりの中でも豊富な知識と経験を要する和風建築への造詣の深さに共感と安心感を覚え、自分の希望を実現するには内田工務店だと直感しました。 打ち合わせを重ねていく中で、どんな家を作りたいのか詳しく話していきました。できあがったプランは求める条件を満たし、かつ工事費は妥当、かつ手の届く金額でしたのでお願いすることになりました。 photo_customer_1 工事費の中で、使う材木や大工手間が占める割合は、ハウスメーカーの家と比べればたしかに大きいのですが、総工費はハウスメーカーより高いということはありません。結局、どこにお金をかけるのか、という考え方次第なのだと思います。今にして思えば「木の家はお金持ちの人しか建てられない」という心配は、思い込みだったんだな、と思います。できあがった家の質で比べれば、むしろ割安だと思いますよ。

Q 家づくりはどのようなプロセスで進んだのですか?

内田工務店がかかげる「自由設計の家」を形にしていくために、とにかく、とことん話し合いを重ねました。「せっかくの家づくりですから、お望みやお好みをとことんお聞かせください」と内田社長に言っていただいたので、自分の趣味趣向や美意識を、できる限り言葉にして伝えました。 伝統木造への憧れはあっても、細かいことまでは知らない私の希望に対して、内田社長からは「こんな材料を使うとこうなります」「ここは木裏を使いましょう」などと、木を知り抜いているからこそのアイデアがどんどん出て来ました。私のわがままを楽しみながら聞いてくださり、条件の中で実現できる道を探るために知恵をしぼる。そういった工夫やせめぎあいのプロセスが、とてもクリエイティブで刺激的でしたね。 大工さんの作業場にも何回か足を運びました。ゆがみや個性もある自然の木をうまく組み合わせ、ものを作っていく職人技の奥深さに触れました。また、大量生産ではなく、わが家のためにだけ手を動かしてくれている!という手刻みならではの感動もありました。私が絵を制作する心と、大いに通じるものがありますね。 木を壁やクロスで覆ってしまう現代住宅と比べて、木を積極的に見せていく伝統木造では、素材となる木の選び方で雰囲気や格が決まるという面があります。図面上は同じ寸法であり、指定は同じ樹種の木であっても、木の表情、節や木目、木を使う向きなどまで気を配ることに、とにかくびっくりしました。素材を選び、一点一点を職人の手づくりで作り上げていくのですから、ハウスメーカーの「和風住宅」とは、必然的に仕上がりの差が出てくるわけですよね。

Q:仕上がりのどのようなところに満足していますか?

ハウスメーカーでも「和風の家」というのはあるのですが、きちんと規格どおりに仕上がってはいても、たとえば壁の素材、床の巾木、ドアなどひとつひとつを見ると、魂がこもっておらず、つるんとして安っぽいんです。内田工務店でつくる家はゼロからの注文住宅であり、素材にもこだわり、高い職人技術で仕上げていくので「一点もの」の良さがあります。 特に気に入っているのは、玄関ですね。いらした方に「木の香りがする」とおっしゃっていただけますし、無垢の木ならではの飽きのこないところ、表情、味わいがあり、それが年を重ねるごとに増していくことを日々、実感しています。私の仕事が日本画家であり、画商も来る商談の場ともなります。自宅であっても、そこが美術、芸術へのこだわりがにじみ出る空間であることを求めましたが、それが十二分に叶いました。 photo_customer_3 美を追求する仕事でありながら、自分の美意識で作ったのではない借家のアトリエに居るのはなんだか落ち着かなかったのですが、満足のいく家づくりができて「これで、腰を据えて生きていける」という気持ちになりました。内田工務店と共に作り上げた、世界にひとつしかない家に住み、仕事ができていることが何よりの幸せです。