木組みあらわしで長もち

あらわしだからこそ、木の恩恵が受けられる
維持管理しやすく、耐震性も

本物の木同士を組んで作る「木組みの家」の何よりの特徴は「木が表に見えていること」。木のよさが引き出され、大工の技や心が住む人に伝わり、耐久性に優れ、維持管理がしやすく、地震にも耐える。メリットはたくさんあるのに、現代の家づくりでは木を金物でつなぎ、木を覆ってしまいます。「もったいない」ことではないでしょうか?

木をあらわす仕事だからこそ
木のよさが発揮され、美しい。

大工の手で刻み加工を施された柱や梁が、力強く美しい木組みとなって、家を支えますが、この木組みを覆い隠さずに「あらわす(露わす)」からこそ、木の持つさまざまな良さが発揮されるのです。木が五感にはたらきかける作用、湿度の高い時には湿気を吸い、乾燥している時には吐き出す調湿機能などが発揮されることで、木の家は人間の感覚に心地よい室内環境を作ってくれるのです。

大工にしても「いつも見えているものを作る」ことは、腕のみせどころ。張り合いをもって、丁寧な施工を心がけるモチベーションともなります。金物でつなげた接合部ではいかにも「舞台裏」、隠さずにはいられませんが、木を木で締める「込み栓」「楔」などでの納まりは、積極的に見せたいほどの美しさです。

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木と木は、金物接合でなく、
木で組むのがいい。

プレカット材の場合、工場から現場に搬入される材は接合金物で組みあげられます。しかし、本来は、木と木は金物を介してでなく、木で作った栓や楔でつないだ方がいいのです。なぜかというと、所詮、木と金物は異素材で、相性がいいとは言えないからです。金物は錆びますが、木は錆びません。木は家になった後も変形しますが、金物にはそんなことはありません。素材としての強度は、金物の方が木より強い。さまざまな違いがあります。

そういった性質の違いのせいで、金物で木を接合していると、外から力がかかった時に、堅い金物ががやわらかい木を破壊してしまうこともあります。また、金物の錆から木を腐っていき、強度低下を招くこともあります。接合するために使うはずの金物が、結果的に木を弱らせてしまうことが、あるのです。大工は昔から「木と木は、木で組む」と言ってきましたが、これも素材同士の相性を見抜いた知恵といえるでしょう。

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力強さとしなやかさを両立する耐震性。

「伝統木造は、地震に弱いのでは?」と思っている方もいるようですが、それは正確ではありません。阪神大震災で倒壊した木造住宅は、戦後の簡便なつくりの建物であり、戦前までのきちんと作られた伝統木造の建物は持ちこたえました。古民家、古建築とは、そのように残って来た結果なのです。

地震力に対しては、建物の構造として、強固さ、堅牢さで耐える「剛の構え」と、しなやかに受け流す「柔の構え」があります。木だけによる木組み構造は、何重にも編んだ鳥かごのように「しなやかに動く」のですが、スジカイをビスで打った金物接合をしていると、ある程度の地震までは耐えても、一線を越えて破壊が始まると土俵際で粘れない力士のように一気に崩壊しかねない脆さをはらんでいます。やはり、木の家は木の論理で一貫して作る方が耐震的にも無理がなくていいのだと、当社では大工の知恵として、捉えています。

メンテナンスのよさが家の寿命の長さにつながる
技術を受け継ぐ人がいる限り、維持管理が可能。

同じ木造軸組でも軸組を壁で覆った住宅では、壁の中で結露して木が腐ってしまう、しかもそのことに気がつかないために、住宅の劣化を早める原因となる例も多いものです。しかし構造材があらわしになっている伝統木造住宅では、そのようなことがありません。長く住み続けていく間にメンテナンスは必要ですが、いつも「見えている」ので、いつ、どのようなメンテナンスをすればよいかが分かりやすいのです。その維持管理のしやすさが、家の長寿命に大きく寄与します。

新建材の家で何かパーツを変えなければならないことが起きたら、それと同じ「型番」の代替品が必要となります。もし、それが廃番になっていたら、どうしたらよいのでしょうか? そもそも何十年も後に、そのシリーズの建材やその会社が存在するのでしょうか? それと比べると、木や自然素材の家に「廃番」はありません。

何百年も前に建立された社寺の改築が今も可能なのは、山に木があり、木を伐り出し、木材に挽く人がいるからです。それを加工し、適切に直す大工技術が伝わってさえいれば、建物は維持管理し続けることができます。「大工の育成」のコーナーで詳しく触れますが、内田工務店が大工を育てることを社是としてるのは、これまで作って来た家を将来にも維持管理できる人材を育てておくことは、当社の責務ととらえるからです。

メンテナンスがしやすく、耐震性にもすぐれた、長寿命な木の家。次の世代になっても、私たちがきっと面倒を見ます。ぜひ安心して、お任せください。

5. 木以外には、どのような素材を使っているのでしょうか?